Archive for 3月 3rd, 2010

上海万博 近未来の都市像「環境」前面に

 中国で初めて開催される国際博覧会「上海万博」が5月1日に上海市で開幕する。テーマは「より良い都市、より良い生活」。世界を左右する経済パワーを持ち始めた中国を舞台に都市の近未来像が描かれる。2008年「北京五輪」に続く国威発揚の場として、7000万人もの入場者を見込む史上最大の万博開催で、中国は世界にどのようなメッセージを発信するのか。中国の近未来像と世界との関係を推し量るうえで、上海万博の見どころは多そうだ。

 上海万博の最大の特徴は何といっても、「規模」にある。出展する国と国際機関は242が確定。金融危機の霧も晴れない中、これまで最多だった00年のドイツ・ハノーバー万博の170を大きく上回る中国の“吸引力”は侮れない。会場面積は、05年開催の愛・地球博(愛知万博)の約2倍で328ヘクタールと過去最大だ。

 10月31日までの184日間の会期中に万博事務局が目標とする入場者数は、1970年の大阪万博が記録した6422万人を上回る7千万人だ。前売り入場券の販売数は中国国内を中心にすでに2千万枚を超え、会期中の入場者は「1億人を超す可能性がある」(上海市の楊雄常務副市長)との強気の見方も出始めた。何事にも規模を競いたがる中国人の自尊心は、早くも満たされつつあるようだ。入場券は、通常日で160元(約2200円)だ。

 では、肝心の展示やイベントの中身はどうか。

 事務局では「地球環境への配慮なくして都市の持続的発展はない」と話し、二酸化炭素(CO2)排出量の少ない「低炭素万博」を目指す考えを強調する。中国は世界最大の温暖化ガス排出国となった。万博テーマ館では屋根を巨大な太陽光発電システム、外壁を植物で覆うほか、来場者にはCO2排出枠購入を呼びかける計画もあるという。

 参加する国や国際機関などのパビリオンも環境への優しさを競う。スイス館は自然分解される大豆繊維の天幕、ブラジル館は再利用可能な木材の骨組みだ。

 日本は海外勢では最多の3館を出展する。政府がキヤノンなどの企業と共同で出展する「日本館」は、太陽電池と一体化した軽量膜が覆うドーム形で、排熱や換気に打ち水といった日本伝統の知恵を応用する。

 堺屋太一・元経済企画庁長官を中心に、企業と静岡県、横浜市が、共同出展する「日本産業館」も、旧造船所の鉄骨枠組みの再利用が目玉だ。ベストシティー実践区では、大阪府と大阪市の「大阪館」が水処理技術などをアピールする。

 「中国」「環境」という時代のキーワードが、上海万博を舞台に競演する。

 ■中華思想、世界へ発信?

 上海万博で中国は、世界に何を訴え、何を残すのか。

 世界初の1851年ロンドン万博は英国による産業革命を加速し、会場の「クリスタル・パレス(水晶宮)」が人々の記憶に残された。1889年開催のパリ万博ではエッフェル塔が建設された。1970年の大阪万博で、太陽の塔は高度経済成長を指し示す希望の光だったといえる。

 栄枯盛衰の歴史の波が欧州から米国、そして、日本から中国へと地球を西回りに進んでいるとすれば、北京五輪に続く上海万博は、中国が国際社会に対し自らの存在感を示す最高の舞台になりそうだ。

 シンボルとして閉幕後も残される「中国館」の建物は中国の皇帝の冠の形と色をイメージしている。45分で中国5千年の歴史が味わえる展示内容だ。そのメッセージは中国が世界の文化や政治の中心であると考える「中華思想」の誇示と受け止めてもよい。

 経済的な優位性が国際社会での政治的発言力にも結びつき始めた中国のパワーを、万博を通じて内外に訴えたいとの心理が見え隠れする。しかし、にわかに増した経済力だけで、世界が中華思想にひれ伏すだろうか。5千年の中華思想から脱却して、次世代の中国人像を世界に発信するパワーを見せなければ、歴史を刻む万博にはなり得まい。

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