Archive for 10月 4th, 2010

82歳男性が自力で道を補修、「皆さんのために始めたまで」

 浙江省杭州市の石橋街道農貿市場の近くの景翠マンション区では、今日も姜裘順さんが早朝から黙々と、れんがで道を補修している。「皆さんが不便だからやっているだけ」で、「ほめられたりすると、きまりが悪い」という。中国新聞社が報じた。

■「問題」の道、見るにみかねて補修を決意

 姜さんは今年、82歳。補修を続けているのは、マンション区にある長さ50メートル、幅1メートルほどの小道だ。近くの住民が買い物に出かけるにもバスに乗るにも使う道だが、雨が降ろうものなら泥だらけになってしまう「問題の道」だった。

 姜さんは元工場労働者。このマンションに引っ越してきたのは今年(2010年)4月だ。しばらくして、雨が降ると、この小道が泥だらけになり、大きな水たまりもできてしまうことに気づいた。「皆さんが難儀している」と思い、自分で補修しようと決めたのは6月だった。

■素人考え「失敗」しても、めげずに再挑戦

 最初は、260元を出して、手押し車を買った。土を運んで、道を平らにすれば水たまりはできなくなると考えたからだ。しかし、雨が降るとそれまで同様に、道はぬかるんでしまう。周囲の地面よりやや低いので、やはり水たまりができる。失敗だった。

 そこで、工事現場の作業員に話をしてみた。その結果「何か『つめもの』を使い、路面を高く、しっかりとしたものにするしかない」との結論を得た。ちょうど近くの建物が改築作業を進めており、不要になったれんががたくさん出ていることを思い出した。そこで、建物の責任者に交渉。れんがをもらえることになった。

■「よいことでも、最後までしなきゃ意味がない」

 雨でなければ、午前5時には作業にとりかかる。昼食などで休憩するが、「退勤」は午後7時ごろだ。古いペンキ缶を廃物利用し、れんがを入れて持ってくる。それを砕き、ちょうどよい大きさにして、路面を舗装する。これまでに、道の半分程度の長さを補修しおわった。

 道の補修は妻にも、一緒に暮らしている娘にも言っていない。家は少し離れた場所にあるので「知らないはず」という。毎日、家を出るのは「知り合いの畑仕事を手伝っているんだ」と“言い訳”している。姜さんは、「よいことをするのでも、きちんと終わらせなきゃ、だめなんだよ。補修が終わったら、家族に言うかもしれない」との考えだ。

 道の近くに住む人々の間で姜さんのボランティアが評判になりはじめたが、「ほめられると、恥ずかしいんだよ。まだ、完成したわけじゃないからね」という。姜さんは最後に取材の記者の肩を叩き「まあ、全部できたら、見に来ておくれ」と言い残し、からのペンキ缶を2つ、天秤棒で肩に担いで、れんがを取るために去って行った様だ。