Archive for 8月 13th, 2010

急激な円高が日本経済に大打撃を与える

 アメリカの経済後退や長期金利の低迷などにより円高ドル安傾向が強まっており、11日には15年ぶりとなる1ドル84円の水準まで達した。中国新聞網は急激な円高がデフレ状態にある日本経済に大ダメージを与える可能性があると伝えた。

 記事ではその理由を3つ挙げている。1つ目は、円高が日本の輸出企業の収益を圧縮すること。対ドルで1円の円高になると、主要400社の今年度の利潤が0.5%減少し、特に自動車分野では2.4%も減少するというデータを紹介し、多くの企業が今年度の予算を1ドル90円ベースで立てていることからその影響が大きくなることは想像に難くないと分析した。

 2つ目の理由は、円高が日本企業による海外への生産基地移転を加速させる可能性があること。これまで日本企業は円高時の対応策として主に人員削減を行うと共に海外への生産基地移転を行ってきたが、金融危機によって大幅なリストラを行ったために人員削減の空間は大きくないと分析、そこで「企業は海外への生産基地移転を迫られ、国内産業の『空洞化』問題が激化する」と予測した。

 3つ目は、円高が日本のデフレ問題をさらに深刻化させること。企業の業績が落ち、国内産業が空洞することで、国内の雇用や収入環境は悪化、就職や消費に影響してくるという。

 また、記事では日本政府や中央銀行が急激な円高を注視し、財務相や経済産業相などの高官が指向性のある発言をしているが、与野党の「ねじれ」状態にある今の国会では政府が速やかに関連政策を打ち出すことは難しいとの見方が広がっていること、急激な円高を阻止する唯一の方法は日米政府が共同で市場介入することだが、オバマ政権は国内の消費低迷の打開政策を実施中であり日本に協力する可能性は低いとの見方を紹介した。